-地球の温暖化と寒冷化について-

近年とみに地球の温暖化が騒がれている。世界の環境学者の言うことだから間違いは無いと思うのだけれど、実は本当は地球は寒冷化に向かっているというのが本当のところなのだそうである。

地球が温暖な気候から寒冷な気候へと変化していくのには一定の周期があって、それは、50〜60年であるとされている。その理由として最も有力視されているのは、太陽のコロナの活動である。コロナの活動がこの周期で変化することにより、地球のマグマの活動に影響を与え、それによって火山活動が活発になっていく。火山活動は連鎖反応的に発生していく。火山活動によって成層圏に撒き散らされる火山灰・亜硫酸ガスなどによって太陽熱が遮られることにより、地球自体が冷え込んで行くというわけだ。

そういえば、雲仙普賢岳の火山活動を始め、フィリピンのピナトゥボ山、南米の山々、最近ではインドネシアと、日本のマスコミには余り取り上げられていないが連鎖反応的に火山噴火は頻発している。さらに、湾岸戦争時に発生したクエートの油井炎上も寒冷化を促進する出来事だった。炎上する煙はクエート上空を覆い、黒い雨が降りそそぎ、市民は一日中太陽の光を見ることはなかった。

だが、これによって望むべくもないことも起こった。砂漠に緑が蘇り始めたのだ。砂漠に緑を求めることができるのは、それまでは、一部の王族達にすぎなかった。それというのも、海水を真水に変える淡水化装置によって得られる高価な水によってのみそれは可能だったからだ。ところが煙が太陽を遮り、つまり太陽熱が遮断されて、植物が成育するにのに適当な温度になったということだ。それに、汚れてはいるが雨も降った。このことは、今現在植物の成育に適した地域が、適さない地域になって行くことを示している。そもそも、現在砂漠になっている地域にしても、最初から砂漠だったわけではない。最初は、緑に恵まれ、水に恵まれ、豊かな文明を築き上げていたのだ。

江戸時代の飢饉の例を出すまでもなく、寒冷期の特徴と言えば作物の不作である。作物の不作が人間に及ぼすもの、つまり、飢えによって人間は行動を開始する。フランス革命然り、ロシア革命然り、アメリカの建国然り、オーストラリアの建国然りである。飢えが政治改革を求めさせ、飢えが新天地を求めさせたのである。そして、我が国に於いて、最も最近の不作はいつだったのかを考えてみれば、それがそう昔のことではないことはすぐに分かるはずだ。

それは、わが国が最後の戦争を始めた年に溯る。戦争は、飢えた人間を救い、飢えた人間を抹殺することによってバランスを保つために人類が考えだした原始的にして最終的な調整装置である。飢えた農村の次男坊三男坊は、当時兵隊予備軍であり、女は女郎予備軍として生をうけた。いくら間引いても追いつかない位に、生まれてきても満足に食べることすら出来なかった時代であった。だが、その前までは食べて行けていたのである。泰平の世を全ての国民が享受し謳歌していたのである。

その前の、食べて行けていた頃の我が国の人口は3000万人だったとされている。それが、1億にせまろうというまでに増えていた。つまり、100年にも満たない間に3倍にまで増えたことになる。そして、寒冷期が訪れた。こういうことである。そして、戦争に突入し人口は半分になりはしたが、その後は戦後の泰平が今まで続いている。人口も1億2000万人を突破し、外国人を100万人も養えるような大国に成長した。つまり、この期間は温暖期であったというわけだ。温暖期の調整は寒冷期になされる。そして、また、地球は寒冷期に向かうべくして向かっている。

では、なぜ今温暖化が騒がれるのだろうか。一言で言えば、第2次世界大戦後の工業化のスピードが、地球の生理活動としての寒冷化のスピードよりも急速であるばかりでなくその地球に与える影響が巨大であるということである。今世紀末までには海水温度は2度以上上昇するという。それは、フロンによるオゾン層の破壊と石油エネルギーの消費に伴う窒素酸化物と二酸化炭素量の急激な増加とが主な原因であるという。また、車の排気ガス、とりわけディーゼル車の撒き散らす窒素酸化物は森林を枯らす酸性雨の主な原因になっているという。さらに、工業化の影響として、熱帯雨林の伐採によって光合成が低下し、地球に必要な酸素量が低下しているともいう。本当だろうか。これらのことがそれ程重要なことだろうか。寒冷化が進んで行けば、これらのことは中和されてしまうのではないのか。それとも、この二つの軸が共存し、砂漠が畑に、畑が砂漠になるような事態に至るのだろうか。

温暖化を世界の学者に声高に叫ばせている真の理由は何なのだろうか。温暖化を抑えることで、スムーズな寒冷期への移行を実現することの方が自然の節理に合っている、というようなリベラリズムでもあるまい。畑が砂漠に、砂漠が畑になることの恐怖、つまりアメリカの言う、新世界秩序とは全く逆の力関係が現出することの恐怖感がそれを言わせているのに違いないのだ。だが、そんなことであろうが無かろうが、地球は確実に寒冷化していく。それが、この世紀の終わりであり、それが次の世紀の始まりである。