松チャンのお話バックナンバーPart2


松チャンのお話
  • 第2回/ 「備長炭の楽器ってしってますか?」

    ●備長炭の見分け方
     このホームページ内でも少し紹介していますが、まだ知らない人のために、またもっと詳しく知りたい人のためにここで改めてご紹介します。 備長炭は原木のウバメガシを1000度以上の温度で焼き上げた、世界でも類の無い最も品質の高い木炭として知られています。 また数ある特徴の一つとして硬度的に優れていることが上げられます。 紀州備長炭の硬度は15度以上もあり、鋼鉄の20度に匹敵するぐらいの硬さを持っています。

    私達備長炭を知るものは、良い炭悪い炭を判定する際、2本の炭をたたいてそのときの音色でその出来映えを判定します。 硬く焼き締まった良質の備長炭は、「キィ〜ン」と透明感のある澄んだきれいな音がしますが、逆に悪い炭だと「コォ〜ン」と濁った音がするのです。

    ●備長炭琴ができた理由
    昔から地元炭焼き衆らにとってみれば、ごく当たり前の常識だったのですが、ある日ひとりの炭焼きおじいちゃん(木下伊吉さん)が、「この備長炭、楽器にはできんかの〜。」とつぶやきました

    このおじいちゃんは一生懸命試作品を作りましたが、どうしても正しい音階を出すことが出来ず、一人ではどうしようもできず、近くの中学校(田辺市秋津川)へ相談に行きました。 相談を受けた音楽教諭は、予想もしなかった相談に多少戸惑ったものの、「全く新しい楽器を世の中に生み出すことが出来るのでは、」と期待に夢を膨らませました。 何年かたってようやく1台の楽器が完成しました。 発砲スチロールの上に5本の備長炭が並べられ、「ちょうちょ」という曲が演奏されたそうです。 時に昭和62年事でした。

    ●クリスタルで透明、人の心をさわやかにして通り抜けていく備長炭琴の音。
    これが当時新聞やテレビでも取り上げられ話題を呼んだのですが、このニュースをテレビで知った兵庫県姫路市、正寺住職、清水めぐむさんが「姫路でも良質の備長炭さえあれば出来る。」と8ヶ月がかりで楽器造りに精を燃やしました。 そして出来上がったのが、現在我々が正式に「備長炭琴」と呼んでいる3オクターブ、半音つき、備長炭38本からなる楽器でした。 ときに昭和63年9月の事でした。 電子楽器では絶対真似のできない大自然そのままの音、当時この楽器の出現により多くの方が驚き、また音に心魅了されました。 この時清水先生は3台の炭琴を作られ、平成3年南部川村に紀州備長炭振興館が新築オープンした際、そのうち1台を記念品に進呈していただきました。

    ●若者にも浸透していく備長炭
    私達の南部川村に炭琴旋風が巻き起こったのはこの時からで、村内にある3つの中学校で音楽の授業の現場に取り込まれました。 熱心な教師と、それにしたがう子供たちの懸命な練習により演奏レベルも高まり、いまでは「炭琴隊」が編成され、県内はもちろん県外にも演奏活動を広げながら頑張っています。 1200年にも及ぶ備長炭伝統産業は和歌山県の無形文化財にも指定されていますが、どうしても若い方たちにとっては感心は薄く遠い存在でした。 しかし現在音楽文化を通して子供たちに備長炭が深く浸透している姿を見て、備長炭を守ろうとする私達は心励まされ、未来に期待の持てそうな、そんな幸せな日々を過ごしています。

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