I  N  T  E  R  V  I  E  W

お米ギャラリー心斎橋・所長
安田進さんに聞きました。
お米のこと、稲作のこと、
そして日本の食文化について。

「お〜こめギャラリーラーリラリ」という印象的なCFとともにデビューしたお米ギャラリー心斎橋も5年目を迎え、今やすっかりミナミの顔。
やさしいお米学など多彩なお米情報満載のお米と日本食の情報カードコーナーや、おいしいお米や加工品の展示販売コーナーなど、充実した明るいギャラリー内は、いつもたくさんの人の笑顔でいっぱいです。
安田進さんは、そんなお米ギャラリー心斎橋の所長さん。「お米のことだけだでなく、日本の食文化について、皆さんにひろく理解していただきたい」という安田さんに、お米のこと、稲作のこと、そして日本の食文化について、話していただきました。

ライスパワーは日本人の元気のモト!

Q 安田さんは、毎朝ご飯を召し上がっているのですか?
安田/はい。元気のモトですからね。「毎朝食べたか」ってよく言うでしょう。生活のリズムを守るために、朝はカロリー源をきちんと摂らなくてはいけません。健康のかなめです。
Q どうしてパンじゃなくてご飯がいいのですか?
安田/ご飯でなくてはいけない、というわけではないんですよ。だけど、理屈じゃなく日本人にはご飯が合っています。だからこそ、長い歴史を超えて、ご飯が食べられてきたのです。日本をはじめ東南アジアでは、お米を作り、ずっと食べ続けてきているという歴史的事実があります。それらはやっぱり無視できるものではありません。
Q 稲が日本の風土に合っているということにも関係がありますか?
安田/もちろんそうです。お米は小麦やとうもろこしに比べると、ずいぶん生産性が高いのです。小麦の場合、連作障害というのがありまして、酪農と組み合わせないと、毎年同じ土地では実りません。ということは、ローテーションのための広い土地が必要なのです。その点、稲作は狭い日本にぴったりと言えます。高温多湿の気候にも合っています。そういう意味でも、日本人にとってお米は、昔も今も大切な食物だというわけです。

日本の文化とお米は深〜い関係です。

Q 日本人がお米を大切にしてきたというのは、どんなことから分かりますか?
安田/日本には、仏教が入ってくる前から神様がおられますが、神様にはお米を原料とするお酒を差し上げます。また、今は簡略化していますが、お正月やお祭のとき、お供物を皆でいただくという風習が残っています。お米は神様の食べ物であり、神様の召し上がるものを人間もいただく、という気持ちがあったのです。神と人、あるいは人どうしが同じ釜の飯を食う、杯を汲み交わす、そんな日本の文化は、お米によって支えられてきたのです。五穀の中でも、最もお米にパワーがあると考えられていたからでしょうね。
Q お酒も昔から神聖なものと考えられていたのですか?
安田/そうです。昔のお酒は女性がお米を噛んで発酵させて作ったんです。だからお米のかたちが残っていて、飲むというより噛むという感じだったと思いますよ。余談ですが、昔は「白き酒と黒き酒」があったんです。別に罪と罰じゃないですよ(笑)。黒いのは清酒に相当し、灰を使って作るのでお酒に黒い部分が残るのです。白いのはいわゆる濁り酒。今でも神様にお酒をお供えしますが、必ずとっくりをふたつ並べます。それはもとはと言えば「白き酒と黒き酒」なのです。神様に5本も10本も奉納するのは本当は正しくないんです。必ず2本でセットなんですよ。 Q 日本の食文化は優れていると、安田さんは思われますか?
安田/ええ、お米から少し話がはずれますが、伝承料理研究家の奥村彪生先生によりますと、ヨーロッパでは昔、スパイスを求めて船で乗り出していく、ということがありました。実は日本にも、島国でありながら風土に合った薬味、保存を主な目的とする独自のスパイスが古くからあったということが分かっています。俗に香味料と言うものです。例えばにんにくなんか平安時代の文献にも残っています。ほかに、生姜や山椒、しそなど、身近なものをうまく使い分けていたようです。スパイスひとつを見ても日本の食文化がヨーロッパに見劣りするものではないことが分かります。戦後の核家族化によって、すばらしい食の伝統が受け継がれにくくなっているのは寂しいことだと思います。

気になる今後のお米事情!

Q 6月1日からお米の小売りが届出制になりましたが、今後お米屋さんはどうなっていくのでしょう?
安田/お米屋さんの数が1.8倍に増えるんです。でも、人間の胃袋は変わりませんから、お米屋さんの方に、売る努力や工夫が必要になってくるでしょうね。いかに消費者のニーズを知り、きめ細かく答えていくかということが問題になってきます。例えば、一人暮らしの方にはおいしいうちに食べきれるだけのお米を売るとかね。これからは、今までになかったアイディアが出てくるでしょうね。そしていずれは小売店も淘汰されていくのではないでしょうか。
Q 今後の世界の食料事情をどんなふうに予測されますか?
安田/世界の人口は今50億ですが、あと20年もすれば80億になると言われています。すると、食料が不足することは目に見えているわけです。そうなるとアメリカやオーストラリアにしても、お米をよその国に販売するという状況ではなくなるのが目に見えています。もちろん日本も例外ではなく、いかに食料を確保するかに四苦八苦する時代が来るでしょう。特に東南アジアは人口密度が高いですから、食料の確保は深刻な問題になっていくでしょうね。大変なことだと思います。



ギャラリー通信(7月のギャラリー・イベント)
お米ギャラリー心斎橋では、楽しくて、ためになるイベントがいっぱい。
詳細は電話でお問い合わせを。
●毎週金曜日
食生活診断と栄養指導・体脂肪測定(10:00〜17:00)
●毎週土曜日
集まれ!ブンブンコメジン公開録音(15:00〜16:30)
●サンデーお米ビンゴ(14日・12:00〜17:00)
●第2回お米料理教室(7日・13:30〜15:00)

お米ギャラリー心斎橋 大阪市中央区西心斎橋1丁目5番5号(千代田生命御堂筋ビル1F) TEL.06-245-4291 営業時間/10:00〜18:00・月休館


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