備長炭とは
木の国、和歌山。
その和歌山で江戸時代の元禄年間に生まれたのが紀州備長炭です。


自然と共に暮らす知恵が生んだ、紀州の炭焼き文化。

炭焼きというと、森林を伐採して環境を破壊するというイメージを持つ方もいらっしゃいますが、決してそうではありません。山の木々は、人が手を入れないとなかなか育ちません。木が成長していく過程で、定期的に人間が手をいれることにより、山を生かし、緑を生かすのです。ウバメガシは紀南地方に群生しています。また、庭園木として公園や家庭で広く愛用されています。しかし、戦後はスギ・ヒノキに樹種転換した山が相当数あるため、原木林の育成が今後の課題です。特に強調したいことは、治山治水、自然保護、環境保全のためにもウバメガシをはじめとする広葉樹林を育成しなければならない、ということです。針葉樹のみでは山は荒廃し、山の動物達の生育環境の破壊にもつながります。かつて、炭焼き人は、原木を求めて窯を移動させ、その間にウバメガシの再生をはかっていました。まさに炭焼き人とは、山を熟知し大自然を読む技術に長けた人、であったのです。

料理用燃料として最高品質を誇る備長炭の特長

白炭ならではの白っぽい色をし、断面は金属質の光沢があり、打てばチィンチィンと金属音がします。燃料として使うと、火力が強いうえ、火もちもよく、うちわ1本で火加減の微妙な調整が思うままにでき、鰻の蒲焼き、焼き鳥など、料理用燃料として今でも「最高」の折り紙をつけられています。備長炭の優れた炭質は、製炭技術もさることながら、炭材にウバメガシを使用することで生まれます。この木は、極めて硬い材質の常緑樹で、萌芽しやすく、主に沿岸のやせ地に生育します。生長が遅く、炭材として最高の品質になるまでには20数年以上かかります。南部川村では和歌山県生産量の5分の1に当たる約2万俵以上が製炭され、まさに日本一の備長炭生産村と言えます。

木炭には「白炭」と「黒炭」があります。

火持ちがよく、生活燃料として発達したのが「白炭」です。
備長炭に代表される白炭は、口を開いて空気を送り込みながら、炭を窯からかきだし灰をかぶせて消火。最後の段階で高熱になるため、木の皮がとけ、肌がつるつるとして堅く、また灰が付着するため白くなるので「白炭」といわれています。一般に炭質が堅く、火持ちがよく、パチパチはねたりしないため、暖房や料理用といった生活燃料に適しています。
●代表的な炭
紀州備長炭・土佐炭・日向炭

「黒炭」は柔らかく火付きがよいのが特長です。
黒炭は、炭焼きの時、木が炭になった時点で窯を密閉して火を消し、作られます。一般的に柔らかく、火付きがよいので古くから金属の精練や鍛冶に使われていました。しかし、「黒炭」でもっとも有名なのは、茶道に用いられる炭です。茶道では、炭の扱いも重要な作法とされ、その中で理想の炭が研究され開発されていきました。
●代表的な炭
池田炭・佐倉炭


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